会頭挨拶

向 静静
立命館大学アジア・日本研究所准教授
今年9月5日・6日に大阪府茨木市にて、第54回日本伝統鍼灸学会および第34回日本刺絡学会学術大会を開催させていただく運びとなりました。「日本鍼灸と儒・仏・仏―臨床に活きる東アジア思想―」というテーマを設けました。人工知能が急速に進展する現代において、東アジアの伝統思想や健康観をあらためて見直す機会となれば幸いです。
私は江戸時代の医学思想史、日中医学交流史を研究しており、長野仁先生と共同研究を行ってきました。この度長野先生からお声がけいただき、会頭を務めさせていただくことは誠に光栄に存じます。
本大会は、茨木市ならびに所属機関である立命館大学アジア・日本研究所の共催・支援をいただき、立命館大学茨木キャンパスにて学術大会を開催できることとなりました。当学会の先生方に加え、医学史研究者の海原亮先生にも特別講演をしていただくこととなりました。基調講演・教育講演・市民講座など充実した内容を用意しております。実技供覧では、定評ある臨床家の先生方に実技をご披露していただきます。
これまでの準備に多くの方々よりご協力を賜りましたこと、厚く感謝申し上げます。会員の皆様はもちろん、学生、鍼灸師、伝統鍼灸にご関心がある方々のご参加を心よりお待ちしております。是非とも奮ってお申し込みくださいますようお願いいたします。
大会開催に向けて、実行委員一同、万全を期して準備を進めております。講演者の演題や課題研究発表者が決まり次第、順次ご案内いたします。最新情報は随時ホームページに掲載いたしますので、引き続きご確認くださいますようお願い申し上げます。
実行委員長挨拶
再結集!いざ鍼の聖地「茨木」へ!!

長野仁
森ノ宮医療大学大学院教授・鍼灸鴻仁院長
稀代の珍書、ハラノムシ図鑑の『針聞書』は、紛れもなく日本一有名な鍼灸書です。編者・茨木元行ゆかりの大阪府茨木市を「鍼の聖地」と位置づけ、第46回日本伝統鍼灸学会学術大会を開催(第27回日本刺絡学会学術大会と併催)したのは、1568(永禄11)年の成立から450周年にあたる2018年(平成30)年のことでした。コロナ禍を経て8年、再び立命館いばらきフューチャープラザにおいて、第54回日本伝統鍼灸学会学術大会を開催(第34回日本刺絡学会学術大会を併催)する運びとなりました。
私が実行委員長を再任いたしましたのは、去る2024(令和5)年の正月に突如して市場に現れた幻の「藤木家文書」を本学会に購入していただいたことに端を発します。打鍼本流の御薗家と朝廷の鍼博士として双璧をなした藤木家の一次資料が、「どんどん焼け」(1864年、京都で発生した歴史的大火)を免れて奇跡的に現存したことに驚愕し、それらが一括でネットオークションに出品されていたことにも驚嘆したわけですが、和辻直会長のご理解のもと、理事会・評議委員会の諸先生のご英断によって、本学会ひいては日本鍼灸界の共有財産とすることが叶ったのです。歴史研究は、史料の捜求(公共/市場)と入手(複写/購入)が前半戦、研究(個人/共同)と発表(口頭/論文)が後半戦となります。今大会はまさしくその後半戦であり、捜求者の責務として私が提案した企画に、実行委員の先生方のアイディアをふんだんに散りばめた、実に多彩なプログラムとなっております。
会頭には、立命館大学准教授の向静静先生をお迎えいたしました。『医学と儒学』で矢数医史学賞と医譚賞に輝いた向先生は気鋭の医史学者であり、大会テーマに掲げた「日本鍼灸と儒・仏・道ー臨床に活きる東アジア思想ー」を体現する実力者です。向先生は今大会のシンボルとしてだけではなく、茨木キャンパスに研究室を構えておられる関係から開催準備にもご協力いただいており、さらに所属機関のアジア・日本研究所の共催にもご尽力いただきました。この場を借りて心より御礼申し上げます。
副会頭は、両学会の意思疎通を円滑にするべく、日本伝統鍼灸学会の和辻直会長と日本刺絡学会の清水尚道会長にお引き受けいただきました。清水先生の計らいにより、「藤木家文書」は森ノ宮医療学園はりきゅうミュージアムの収蔵庫にて厳重管理しております。大会運営に加え、「藤木家文書」の購入と保管にご理解を示された和辻先生と清水先生に深謝する次第です。